製品紹介

イナストマーの原理とメカニズム

1. 感圧導電性エラストマーとは?

感圧導電性エラストマー(感圧導電性ゴム)とは絶縁性の高いゴム材料(1015~1018Ω)に導電性粒子(カーボン、金属粉、金属蒸着粉等)を一定の配合割合でほぼ均一に混ぜることで感圧導電性を付加したゴムです。

一般的に導電性ゴム(数Ω~数百kΩ)というものがありますが、これは常時低抵抗を有するもののことをいい、感圧導電性ゴムはこれとは異なり、ゴムの持つ弾力性を生かして、加圧変化(押さえる力の変化)をゴムの変位変化(たわみ変化)に換え、この変化に伴って電気抵抗値(電気を流れやすくする値)が数拾MΩから数百Ωまで変化するものです。また、加圧(押さえる力)を解除することによって数拾MΩまで抵抗値が戻る性質があります。言い換えれば、バネの付いた可変抵抗器ということが出来ます。

2. 原理とメカニズム

感圧導電性エラストマーは主にゴム材料(シリコンゴム)と導電性粒子(カーボン)の2つの材料から成り立っており、絶縁性の高いゴム材料の中に導電性粒子がほぼ均一に分散された状態で成形されたものです。

そして、無加圧状態では導電性粒子は互いに接触しておらず(導通経路を形成していない状態)、体積抵抗、表面抵抗ともに、107Ω以上の非常に高い電気抵抗値を示しているが、これに加圧すると導電性粒子が次第に接触し始め、導通経路が形成され、3次元的に導通経路が増えてF-R特性(力と抵抗値の関係)は滑らかに102Ωレベルまで変化していくことになる。

また、減圧して無加圧にすると、ゴムの弾性による復元力で導電性粒子は再び非接触状態に戻り、電気抵抗値は107Ω以上になる。

感圧導電性エラストマーの動作原理

感圧導電性エラストマーの動作原理
荷重-抵抗変化(F-R特性)パターン
(a) 理想的な感圧性(感圧導電性ゴム)
(b) 抵抗変化なし(絶縁性ゴム)
(c) ON-OFF的な挙動(加圧導電性ゴム)

ゴムの電気的特性による分類

ゴム

  • 汎用ゴム

    ゴムの材質によって体積抵抗率は異なるが一般的には1011~1018Ω程度の抵抗値を有する。

  • 耐電圧ゴム

    絶縁抵抗の高いゴムのことで数kVの高電圧に耐えるゴム。

  • 導電ゴム

    • 高導電性ゴム

      常時、低い抵抗値を有するゴム。(ラバーキーの接点ゴム等、500Ω以下)

    • 低導電性ゴム

      常時、高い抵抗値を有するゴム。(耐電防止ゴム等、1kΩ~数百kΩ)

    • 加圧導電性ゴム

      自然状態では絶縁で加圧されると急激に導通するゴム。(ON-OFF)

    • 感圧導電性ゴム

      自然状態では絶縁で加圧される度合いにより抵抗値がリニアに下がるゴム。(イナストマー、触覚センサ等に使用)

    • 異方導電性ゴム

      導電性に方向性があり、Z方向は導電性を有し、XY方向は絶縁性を有するゴム。(インターコネクター等の基板と基板の接続に使用)